こまのすけ
先日、オピオイドをめぐる問題で米医療大手のJ&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)とオハイオ州との和解が成立しました。
JNJホルダーとして、今回の和解について考察してみましたのでお読みください。
この記事でわかること
おさらい:今までの流れ
米国のオピオイド問題は深刻
前回の記事でも考察をしましたが、米国におけるオピオイド依存は大きな問題になっています。
どれぐらい異常事態かというと、
- 人口わずか400人の集落にある薬局が、オピオイドの販売で年6億円の売り上げを出せる。
- 米国のオピオイド系鎮痛薬による中毒死は、1999年から2011年とを比較するとおよそ4倍に増加。
- 1999年~2017年までに70万人が薬物の過剰摂取で死亡、その2/3以上がオピオイドが原因。
上記を読んでも「へ~」とあまり実感が湧かないかと思います。
それも当然のことで、日本ではオピオイド系鎮痛剤は容易に手に入れることができません。
「がん性疼痛に使用される薬」という言い方をすれば、オピオイドがいかに特殊な薬剤であるかお分かりいただけると思います。
アメリカでは、
「医師が容易にオピオイドを処方する」
「少しの痛みでオピオイドに依存する国民性」
という、医師・患者双方の問題によりオピオイド中毒が蔓延しているのです。
オピオイド中毒に関しては、前回の考察でもっと詳しく説明しています。

多くの製薬会社や流通業者が訴追される事態に
オピオイド中毒が社会問題化している米国では、次々と製薬会社が訴えられる事態になっています。
個人的には、製薬会社を訴えたところで安易な処方と国民の意識を変えない限り、あまり意味はないと思うのですが(^^;
J&Jも「中毒性の高いオピオイドを事実誤認につながる形で宣伝した」という理由でオクラホマ州から裁判を起こされました。
600億円の賠償金でも影響は軽微だった
2019年8月26日、オクラホマ州地方裁判所はJ&Jに対し5億7200万ドル(約606億円)の制裁金支払い命令の判決を言い渡しました。
もちろん、J&Jがすぐさま上告したのは言うまでもありませんw
前回の記事で、
- JNJの2018年の売上高は815.8憶ドル。
- 5億7200万ドルの賠償金は売上高の0.7%に過ぎない。
- よって、支払い命令に応じることになったとしても影響は軽微。
と考察し、「JNJは引き続きガチホ」という結論に至ったのでした。
今回の和解の影響
支払額は完全なサプライズ
今回、J&Jがオクラホマ州に支払う和解金は「2,040万ドル(約21憶8,000万円)」となりました。
オクラホマ州は、先のオピオイド訴訟において
パーデュー・ファーマ(アメリカ製薬会社)と2億7000万ドル
テヴァ・ファーマシューティカル(イスラエルの製薬会社)と8500万ドル
で和解しており、J&Jは前例よりも安い金額となりました。
大手製薬会社ですから、もっと和解金を吹っかけられると思ったのですが、これは意外でした。
2,040万ドルという金額は当初予定されていた賠償金の3.5%にしかすぎず、さらに売上高に対する影響は軽微になったといえるでしょう。
J&Jは売上高右肩上がりの化け物企業ですからね・・・。
JNJの業績などについてはこちらをご覧ください。

「和解」は「敗訴」よりイメージが良い
今回、J&Jとオクラホマ州との間で「和解」が成立しました。
前回の賠償金支払い命令に対しJ&Jは上告の意図を示していたわけですが、「裁判→敗訴→しぶしぶ支払い」よりは圧倒的にイメージは良いです。
また、J&Jは今回の和解により、10月21日に予定されている連邦裁判所での審理からも除外されるとのこと。
裁判の継続は、企業側にとって資金・イメージともに悪化するので、今回の和解は賢明な判断であったと思います。
株価は上昇
参照:tradingview
ダウ30種のうち29種が下げる中、JNJだけが上昇していました。(赤矢印)
9月末のポートフォリオ所感↓
先月まで我が米国株ポートフォリオの癌はアッヴィでしたが、今月はJNJが足を引っ張っています😇https://t.co/t0hTwJW0FC pic.twitter.com/gQ2Sn3R2dJ
— こまのすけ (@komanosuke3) September 28, 2019
JNJのオピオイド問題が解決したことで、我がポートフォリオもやっと改善されそうです(^^;
まとめ:やっぱりガチホ
JNJはベビーパウダー訴訟・オピオイド問題を抱えていましたが、今回その一つが解決したことで株価も上昇に転じました。
製薬会社のリスクとして訴訟問題はつきものですが、それを加味してもJNJの業績や連続増配には魅力があります。
今後も、JNJホルダーを継続していく所存です!
それでは!